コース概要

どのようなことを学び研究するコース?

味を感じる仕組み、細胞の中でタンパク質が輸送される仕組み、脳が形作られる仕組み、神経回路網のコンピューターシミュレーションといった基礎分野から、視覚障害の遺伝子治療、無限細胞分裂技術やiPS細胞技術を用いた種の保全、生殖細胞の保存技術、ゲノム編集、医薬品開発といった応用分野までの幅広い研究を行っています。

この研究は社会にどのように生かされる?

基礎分野の研究は必ずしもすぐに役立つようには見えませんが、長い年月をかけて思わぬ革新的な応用分野の出現に発展することがあります(例、2008年にノーベル賞を受賞した下村博士のGFPの研究のように)。遺伝子治療や医薬品開発は、人の健康に貢献することができます。また、種の保全に関わる研究は、生態系の維持につながります。

大学院に進学する学生に求めることは?

まずは生命科学に興味があり、自分で能動的にものを考えることができ、 粘り強く、物事に取り組める人を期待します。生命科学は、異分野からの算入も多い分野なので、志望する研究室によっては、大学で必ずしも生命科学を専門に学んでいなくても大丈夫です。むしろ、幅広い学問的なバックグラウンドを持っていることが研究する上で、思わぬ役に立つこともあります。志望する研究室を決める際には、どういう研究を行い、これまでどのような成果を上げているかなど、情報収集に努めましょう。

どのような人材育成を目指している?

生命科学の知識と技術を身につけ、論理的に思考でき、周囲の人々との関係を築きつつ、能動的に物事(問題の発見、調査、解決策の考案など)に粘り強く取り組みめる人材の育成を目指します。また、生命科学は理系の学問分野の中で最もグローバル化が進んでいる分野であるので、必然的にグローバルな人材育成も行うことになります。

修了後の想定される進路は?

製薬会社(研究、開発、製造管理からMRまで)、医療・研究機器メーカー、医療関連IT企業、食料品メーカー、環境関連事業所、などの就職先が想定さ れます。また、博士課程に進学し、大学や高専の研究教育職、公的な研究所あるいは民間の研究職を目指す道もあります。

コースとして実施している学生サポートは?

大学院生になると、学部の学生実験のサポートを行うティーチングアシスタントなどのアルバイトがあります。また博士課程に進学する場合、修士までに学術論文を刊行していれば、日本学術振興会の特別研究員となり、給与(月額20万円)をもらえるチャンスがあります。

このコースのここがすごい!

本コースでは、臨床医学や薬学に近い研究を行っている研究室もあり、また異分野の研究室や企業との学際的な研究も盛んです。数年にわたる長期の海外での研究経験のある教員も多く、グローバルに羽ばたきたい学生の後押しをするもできます。

在学生 INTERVIEW

大学院進学をきっかけに、自分自身を見つめ直すことができた。

佐藤 雅俊 さん 岩手大学工学部応用化学生命工学科[2014年度卒業]
大学院工学研究科応用化学・生命工学専攻

学部時代は、目の遺伝子治療について研究していました。光を受け取る視細胞の変性によって失明した患者の治療に向けて、光感受性遺伝子導入による治療が検討されています。光感受性遺伝子が発現するタンパク質が視細胞の代わりに光を受容できるようにすることで視力再生の可能性があります。光感受性タンパク質として、青色の光に反応する緑藻類クラミドモナス由来のチャネルロドプシン-2(ChR2)が過去に報告されていましたが、私たちの研究室ではより広い波長の光を感受できるmVChR1を開発しました。そして、私は将来的に色覚を作り出すため、ChR2とmVChR1を共発現させた場合の反応性についてラットを用いて検討しました。
大学院へは、好奇心から進学しました。進学の際は、マウスの線維芽細胞から神経細胞を作り出した過去の研究を引き継ぐことになっていたので、それについて追求したいという好奇心が大学院進学を決意した理由です。またその他に、白内障の治療研究などについても目をつけていたことから、多様な研究ができる現在の研究室で、思う存分様々な研究を続けていこうという考えに至りました。
最近の研究では、光感受性タンパク質ChR2を網膜神経節細胞(RGCs)へ導入した際の影響を調べました。遺伝子を導入するRGCsは視細胞変性後に徐々に減少するため、遺伝子導入されたRGCsも減少するか検討しました。また、持続的なChR2発現が本来光感受性の無いRGCsの細胞死を生じないかという点についても調べました。
大学院に来て良かったことは、プレゼンテーション力が向上したことです。学会発表や研究室内での抄読会、授業での発表など、学部時代より前に出て話す機会が多いので、相手に何か物事を伝えることが上手くなったように感じます。
大学院進学は、自分自身を見つめ直す良い機会になったと感じています。また、英語の雑誌に論文を掲載できたことなど、学部だけでは難しい貴重な経験もできました。大学院進学は自分の人生の厚みを増すものだと思うので、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

※取材は2017年3月段階のものです

コース紹介