電気電子通信コース

現代産業社会を支える科学技術の継承と、新しい科学技術を創出できる技術者・研究者を育成

どのようなことを学び研究するコース?

高度な電気エネルギーの運用のもと、ICT(情報通信技術)を基盤とした社会の構築には電気電子通信工学(無線通信、ディジタル信号処理、センサデバイス、薄膜デバイス、プラズマ、パルスパワーなどの学問)は必要不可欠です。本コースでは「電気エネルギー分解」、「電子デバイス分野」、「通信・電子システム分野」の各専門分野を設け、教育研究を展開しています。学部で習得する電気・電子工学、電磁気学を基礎に、「電磁気学持論」、「通信システム工学持論」、「電子物性工学特論」など、各分野バランスよく開講される科目の習得と研究室での研究活動を通じ、研究分野の専門性を習得します。

この研究は社会にどのように生かされる?

電気はその並外れた運用形態の柔軟さにより、これまでも交通機関の動力源、照明の光源、通信の情報源などで社会貢献がなされてきました。今後もその可能性は無限であると考えられます。しかし、生活を便利にするという観点に捉われ過ぎることなく、省エネルギーや環境負荷低減など持続可能社会への貢献も果たす技術を研究・開発することで、新しい価値や文化を創造していきたいと考えています

大学院に進学する学生に求めることは?

研究・開発能力を培うために必要な専門基礎学力を持っていること。そして、道筋の与えられない問題の解決に対する意欲や実行力、具現化能力に優れた学生を求めています。また、倫理観を有し、高いモチベーションで日々努力する学生を求めています。

どのような人材育成を目指している?

現代産業社会を支える電気電子通信工学分野で活躍でき、さらに新しい科学技術を創出できる技術者・科学者への育成を目標としています。したがって、専門の深化とともに、他分野との積極的な連携や国際学会での研究成果発表を通して、領域横断的な展開力や国際性や倫理観の教育に重きを置いています。

修了後の想定される進路は?

主要な就職先として、東北電力(株)などの電力インフラ系事業者、東日本電信電話(株)(NTT東日本)などの通信インフラ系事業者、(株)日立製作所などの電気機器メーカー、トヨタ自動車東日本(株)などの自動車関連企業などが想定されます。その他にも、機械、化学、建設、金融、運輸など、電気を使う他業界への就職もこれまでの実績の中に数多くあります。また、博士課程進学者も近年増えています。

学生Interview

知見やスキルを向上させるチャンスがたくさんある

榊原 哲さん

大学院進学を決めた理由は、学部のときに研究していたことをもっと続けて研究したいと思ったからです。本コースでは4年生で研究室配属され、本格的に卒業研究を開始しますが、1年という期間では研究について学べることに限界があるので、大学院に進学して本格的に研究したいと思いました。また、具体的に就職したい分野が4年生のときには明確に決まっておらず進路の決定に不安がありました。大学院では学部と比較して多くの経験を積めるので、その上で自分の進路の選択をしたいとも考えていました。知識や経験値を増やしてもっと成長して選択肢を広げたかったこと、そして大学院に進めば学会発表や国際的な機会も増えると考えたことも理由の一つです。

学部時代は線形代数や微積分といった電気の計算に必要な数学、電気回路・電子回路・電磁気学の基礎について、講義や実験を通して興味をもって学び、卒業研究では高電圧パルスにより水中の気泡内に生成したプラズマを応用した水処理の研究、処理排水中の有毒な抗菌剤の分解や気液界面でのプラズマによる化学反応を応用した触媒合成、気液界面でのプラズマの放電様相の観測などに取り組みました。大学院進学後も学部と同様のテーマで研究に励んでいます。

現在、主に研究しているのは核燃料の再処理施設において廃液中に含まれる成分のうち,運転上好ましくない影響を与える物質の分解についてです。日本は、カーボンニュートラルに向けてクリーンエネルギーとして原子力発電の利用を安定的に継続する方針であり、この廃液処理は速やかな解決が必要とされています。未知の問題に対して仮説を立てて実験を進めていきますが、自分の行った実験が結果として形に表れることに楽しさを感じますし、仮説通りの結果が出たときは他では経験できない大きな達成感を得ることができます。ただ、思い通りの結果にならないことのほうが多いですし、修士とはいえ研究者としてはまだ経験や知見が少なく、課題への対処法もわからないことがあり、そこは難しさを感じる点です。理論から想定していた内容と異なる実験結果が得られ、壁に直面することも少なくありません。

学部までは講義が主体の大学生活でしたが、大学院では研究がメインの生活となるため、研究計画の立案やスケジュール管理が学部以上に必要になることが多いと感じます。また学会発表など研究成果を発表する機会が増え、国際学会では英語でディスカッションをする機会も増えました。大変さはありますが、その結果、コミュニケーション能力、スケジュールの管理能力、課題解決力が向上したと感じているので大学院に進学してよかったと思っています。さまざまな経験を積む中で自分の能力を見直す機会、そして成長しようと思う機会が増えたことは自分にとって大きなプラスになっています。


※取材は2022年12月段階のものです

理工学専攻(修士課程)