化学コース是永准教授らが開発した触媒が企業から販売開始
2017.07.20
岩手大学理工学部化学コースの是永敏伸准教授、似鳥薫君(修士課程1年)の開発した有機分子触媒が、大手試薬メーカーの東京化成工業(株)より販売開始されました。
この触媒と汎用性の高いグリニャール試薬を乾燥空気中で攪拌することで、医薬品や液晶分子に必要なビアリール化合物を高収率で得ることができます。この反応はこれまで、枯渇が懸念されている遷移金属触媒と多量の廃棄物を産出する共酸化剤を組み合わせて行われていましたが、今回、地球上に豊富に存在する元素のみから構成される触媒と廃棄物を生み出さない空気中の酸素を利用するという非常に環境負荷の少ない反応の開発に成功したため、この触媒を用いた環境に優しい医薬品化合物の開発プロセスへの応用が期待されています。
なお試薬販売に先立ち、上記の成果を含む研究成果はアメリカ化学会の有機化学系の代表的学術誌「Organic
Letters」に掲載され(共同研究者:小川智教授、村岡宏樹助教)、プレスリリースを経て岩手日報でも報道されています。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「有機分子触媒による未来型分子変換」、並びに、岩手大学理工学部 学部長裁量経費の支援を受け実施されました。
学術論文:Organic Letters, 2015, 17 (21), pp 5500–5503. DOI: 10.1021/acs.orglett.5b02887
新聞報道:岩手日報(2015.11.29)「レアメタル代替新触媒」
※本件に関する問い合わせ
岩手大学理工学部 化学コース 准教授 是永 敏伸
電話:019-621-6327、 e-mail:korenaga@iwate-u.ac.jp