化学コース

環境や生命と調和のとれた21世紀社会にふさわしい化学技術基盤の担い手の育成を図る

どのようなことを学び研究するコース?

無機化学系の「表面・エネルギー化学分野」、有機化学系の「有機・高分子化学分野」、物理化学系の「物性化学・化学システム分野」の3つの教育研究分野における教育・研究を通して、地域社会と国際社会の持続的発展に貢献できる化学技術者・研究者を育成します。

表面・エネルギー化学分野

無機化学の基礎知識をもとにして、分析化学、表面化学、電気化学、環境化学などを学び、環境に配慮した機能性無機材料、高エネルギー密度電池用材料、触媒などの表面機能制御などに関する教育研究を行います。

有機・高分子化学分野

有機化学の基礎知識をもとにして、有機反応化学、高分子合成化学などを学び、有機化学製品、医薬品、機能性高分子材料、有機電子材料などに関する教育研究を行います。

物性化学・化学システム分野

物理化学の基礎知識をもとにして、量子化学、反応工学、材料化学を学び、有用な結晶の創製、構造材料・エネルギー変換材料・分子材料などの機能発現・維持・制御、分子構造解析などに関する教育研究を行います。

この研究は社会にどのように生かされる?

化学は全ての産業を支える分野であり、化学コースの研究も多くの産業分野と密接に関わっています。例えば、自動車等のあらゆる工業製品に関連する次世代型素材を開発しており、実際に製品化された技術もあります。また、スマートフォン用充電池から自動車用燃料電池まで幅広い二次電池の研究によりエネルギー問題の解決を狙っています。さらに、有機ELや太陽電池等の電子素材の根幹となる革新的な分子も開発しています。医薬分野においても、医薬分子及びその構築技術の開発、さらにはプロセス研究の実施によりこの分野に貢献しています。話題のSDGsに関しても、バイオマスや廃プラスチックの再利用という環境適合型ものづくり技術を展開しています。 以上のように、地球を支えるものづくり技術を担っているのが化学コースなのです。

このコースに入学する学生に求めることは?

1.関心・意欲

化学やその関連分野への強い関心と新しい課題に挑戦する意欲を持ち,明確な目標を持って積極的に問題解決に取り組むことのできる人

2.知識・技能

化学の専門分野を学ぶうえで必要な理科系・文科系にわたる基礎的知識やその展開力を修得している人

3.思考力・判断力

広い視野と論理的思考を通して化学における課題を発見・探求し,問題解決に向けた適切な判断と対処のできる人

4.表現力・コミュニケーション能力

的確な表現力と周囲との円滑なコミュニケーション能力を用いて化学の知識,技術,情報等を必要な相手に正確に伝え,問題解決に取り組むことができる人

5.主体性・創造性・協働性

化学に関連する分野において創造性豊かな発想ができ,主体的に問題の発見と解決に協働的に取り組むことのできる人

どのような人材育成を目指している?

化学産業を支える人材を育成するためには、工学的な応用化学の専門性の深化だけではなく、理学的な基礎化学との融合がますます重要となります。本コースでは、無機化学を基盤とした「表面・エネルギー化学分野」、有機化学を基盤とした「有機・高分子化学分野」、物理化学を基盤とした「物性化学・化学システム分野」の3つの教育研究分野を設置して、基礎化学から応用化学までの高度な専門性を備え、地域社会と国際社会の持続的発展に貢献できる化学技術者・研究者を育成します。

卒業後の想定される進路は?

化学はものづくりの基本となるだけでなく、環境問題、資源・エネルギー問題、食糧・水問題といった現代社会が抱える問題の解決に不可欠なため、化学系人材の社会的要請は高く、安定して高い就職率が見込まれます。 また、より高度な専門性を身につけるため、大学院への進学を推奨しています。
  • 化学関連
  • 電子部品・デバイス関連
  • 食品・医薬品関連
  • 環境・エネルギー関連
  • 自動車関連
  • 教育関連
  • 公務員
  • 大学院進学 など

カリキュラム

1年次 2年次 3年次 4年次
専門基礎科目 基礎数学
微分積分学I
微分積分学Ⅱ
線形代数学
物理学I
物理学Ⅱ
化学I
化学Ⅱ
生物学
微分方程式
確率統計学
化学コース科目 無機反応化学
物理化学Ⅱ
有機化学Ⅱ
有機化学Ⅲ
基礎高分子化学
高分子合成化学
化学理工学演習Ⅰ
化学理工学演習Ⅱ
無機物質化学Ⅰ
分析化学
化学工学Ⅰ
分子構造解析学
化学理工学実験Ⅰ
化学理工学実験Ⅱ
無機物質化学Ⅱ
物性物理化学
構造物理化学
有機分子構築学
有機分子構造学
無機工業化学
機器分析化学
反応工学
化学工学Ⅱ
高分子材料化学
有機工業化学
化学理工学情報Ⅰ
化学理工学情報Ⅱ
化学理工学研修
卒業研究
学科内共通科目 化学生命研修Ⅰ
無機構造化学
基礎物理化学
有機化学Ⅰ
生化学
分子遺伝学
基礎分析化学
物理化学Ⅰ
量子化学
基礎化学工学
神経科学概論
発生生物学
化学生命研修Ⅱ
科学英語Ⅰ
科学英語Ⅱ
化学生命概論
有機分子解析学
医薬科学
学部内共通科目 ソフトパス理工学概論 技術者倫理
知的財産権概論
特許法特講
原子力工学
工業経営管理論
社会体験学習
国際研修
必修科目 選択科目

学生Interview

培った有機化学に関する知識や技能を農業や創薬の分野に生かしたい

寺澤 梨緒さん

[岩手県 盛岡北高校出身]

私は、化学の専門知識を深められるだけでなく、1つのキャンパスにすべての学部が集まっていることで、異なる分野の人と交流する機会が得られると感じたので岩手大学理工学部を選びました。医農薬品の開発につながる天然物を多段階で合成する「全合成」を主題とする研究室に所属していますが、さまざまな反応を行う機会があり、合成スキルを向上させることができるのが最大のメリットだと思います。

現在、「ウミヤツメ」という北アメリカの五大湖に侵入した、サケやマスに寄生する外来種を誘引するフェロモン様天然物の全合成研究を行っています。卒業後は大学院進学をし、合成の技術をさらに磨き、天然物の機能やその作用機序を解明したいと考えています。大学院で培った有機化学に関する知識や技能を、農業や創薬などに生かしていきたいです。

※取材は2022年12月段階のものです

このコースではこんな教員が待っています

化学・生命理工学科