マテリアルコース
金属生産工学の技術開発や新機能材料開発などの分野における産業発展と持続可能な社会に貢献できる人材を育成
どのようなことを学び研究するコース?
スマホ、自動車、東京スカイツリーはすべて材料(マテリアル)からできています。ノーベル物理学賞を受賞した青色LED材料は社会を一変しました。本コースで学べるマテリアル工学は、社会を支え、未来を創る学問です。幅広い問題への対応能力をつけるため、本コースでは数理・物理科学と材料工学を統合し、工学と理学を融合した教育プログラムを編成しました。
金属生産工学分野
材料物理化学、材料組織学、金属構造材料学などの金属とセラミックスの物理・化学的性質を基礎に、材料精製、材料強度、熱処理、材料加工を学びます。また、薄膜プロセス技術による新規材料開発、金属製錬、金属リサイクル、鋳造、溶接、粉末冶金等の材料プロセスおよび複合材料学について学びます。
機能材料理工学分野
電磁気学、固体物理学、半導体理工学などを基礎に、固体内での電子の振る舞いや、固体の電気的、磁気的、熱的、結晶学的な性質について学びます。また、機能性酸化物、超電導体、有機半導体、磁性体等の新しい機能材料、新たなエネルギー材料や、先端構造材料の評価を非破壊に行う手法について学びます。
この研究は社会にどのように生かされる?
素材すなわちマテリアルは産業の要であり、鉄鋼業などの素材分野だけでなく、自動車・機械、インフラ設備、電気電子デバイス、医療などの幅広い分野の製品のベースとして現代社会を支え、イノベーションをもたらす重要な存在です。日本は「素材大国」といわれるほどマテリアルについての研究が盛んで、青色LEDやネオジム磁石、リチウムイオン電池など、日本発のマテリアルに関するたくさんの研究成果が社会に実装され、世界を変えてきました。マテリアルコースの研究は、今後もイノベーションを創出し続け、持続可能な社会の実現に貢献して行くと期待されます。
このコースに入学する学生に求めることは?
マテリアルコースでは、すべての産業を支える“材料”の性質を原子・分子レベルから科学的に理解し、新しい材料やそれらの製造・評価技術の開発につながる専門知識と技術を習得して、社会に貢献できる人材の育成を行います。そのために、本コースでは次のような能力・資質を備えた入学者を求めています。
- 材料・物質科学を学ぶに相応しい、数学、物理、化学、英語等の基礎学力
- 材料工学や物質科学の学問分野に対する高い勉学意欲
- 材料・物質科学分野に強い興味を持ち、環境との調和を図りながら、産業の発展を通して社会の諸問題に取り組みたいという意欲
- 新しい課題に挑戦する積極性と、地域はもとよりグローバルに活躍したいという意欲
どのような人材育成を目指している?
金属生産工学と機能材料理工学の2分野を設置しており、材料プロセス・リサイクル技術や新材料・先端デバイス等に関する知識が学べ、応用展開力が養えます。技術革新を担う材料開発に貢献できる人材の育成、地域産業の課題から地球規模のエネルギー・環境・資源の課題まで対応できる人材の育成をめざします。
卒業後の想定される進路は?
材料開発や材料評価のできる人材は、あらゆる職種・分野で必要とされています。したがって、今後も高い就職率が期待されます。大学院への進学者も多く期待されます。
- 金属素材関連
- 自動車関連
- 機械製造関連
- 電気エレクトロニクス関連
- IT関連
- 鋳造関連
- 運輸関連
- 公務員
- 大学院進学 など
カリキュラム
1年次 | 2年次 | 3年次 | 4年次 | |
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専門基礎科目 |
●基礎数学 ●微分積分学I ●微分積分学Ⅱ ●線形代数学 ●微分方程式 ●物理学 ●化学I ●化学Ⅱ ○生物学 |
●ベクトル解析 ●フーリエ解析 ●物理学実験 ●化学実験 ○複素解析 ○確率統計学 ○地学 |
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マテリアルコース科目 |
●材料物理化学Ⅰ ●金属構造材料学 ○材料力学 ○材料物理化学Ⅱ ○材料組織学Ⅱ |
●材料強度学 ●電気化学 ○半導体デバイス工学 ○エコ材料学 ○接合工学 ○反応工学 ○製錬工学 ○鋳造材料学 ○複合材料学 |
●卒業研究 | |
学科内共通科目 |
●物理・材料理工学基礎演習 ●設計製図 ●熱力学 |
●科学技術英語Ⅰ ●材料組織学Ⅰ ●電磁気学Ⅰ ●量子物理学Ⅰ ●統計物理学 ○電気回路学 ○電磁気学Ⅱ ○光学 |
●科学技術英語Ⅱ ●数値計算法 ●プログラミング学 ●物理・材料理工学実験Ⅰ ●物理・材料理工学実験Ⅱ ●固体物理学 ○特別講義Ⅰ ○特別講義Ⅱ ○工場見学 ○電子物性学 ○材料計測学 ○誘電体材料学 ○半導体理工学 ○有機材料学 ○磁性理工学 ○超伝導理工学 ○ナノ理工学 |
●専門英語セミナー ●特別研修 |
学部内共通科目 | ●ソフトパス理工学概論 |
○技術者倫理 |
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○原子力工学 ○工業経営管理論 ○知的財産権概論 ○特許法特講 |
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○社会体験学習 | ||||
○国際研修 |
●必修科目 ○選択科目
学生Interview
鋳造の技術を自動車部品軽量化に役立てたい
村田 ゆりなさん
[岩手県 盛岡第三高校出身]
私が所属する平塚・晴山研究室では鋳造、溶接・接合などの加工プロセスを用いて複合材料を作り、材料の機械的性質を研究しています。鋳造は製造しようとする物と同じ寸法や形状を持った空間を、砂などを用いて鋳型を作り、そこに金属を注入して製品を造りますが、これは岩手県の特産品である「南部鉄器」や「奈良の大仏」、自動車のエンジンや足回り部分などに用いられている技術です。将来的には自動車の燃費向上に必要な部品の軽量化、高強度化といった、鋳鉄材料の開発に役立てられればと思っています。
私は昔から理系科目やものづくりが好きでした。理工学部は女性が少ないイメージがありますが、最近では女性研究者も多く活躍していることを知り、憧れて入学しました。地元進学は生活環境に大きな変化がない分、授業や研究に集中できます。様々な人と交流する機会や好きなことにあてる時間も多くとれ、環境的にも私に合っている大学だと感じています。
※取材は2022年12月段階のものです
このコースではこんな教員が待っています
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大柳 洸一
OYANAGI Koichi磁石の源、スピンを操る
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鎌田 康寛
KAMADA Yasuhiro磁石の性質を使った材料の健康診断
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葛原 大軌
KUZUHARA Daiki発光性や半導体特性を示す有機材料をつくる
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小林 悟
KOBAYASHI Satoruナノサイズの小さな磁石を医療に活かす
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関本 英弘
SEKIMOTO Hidehiroより良い方法で金属を生産・リサイクルする
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戸部 裕史
TOBE Hirobumi新しい形状記憶合金をつくり様々に機能を活用
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内藤 智之
NAITO Tomoyuki超伝導体の塊で強い磁石をつくる
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晴山 巧
HAREYAMA Takumiものづくりのために液体金属を操る
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平塚 貞人
HIRATSUKA Sadato自動車部材用高強度鋳鉄をつくる
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水本 将之
MIZUMOTO Masayuki金属とセラミックスのいいとこ取りの新材料
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山口 明
YAMAGUCHI Akiraエコに役立つナノ材料をつくる
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吉本 則之
YOSHIMOTO Noriyuki材料の分子を並べる技術の開発