機械・航空宇宙コース

地球をマネージメントする研究者・機械技術者を養成

どのようなことを学び研究するコース?

持続可能な社会の実現には、これまでの大量生産・大量輸送・大量消費・大量廃棄から脱却する必要があり、循環型社会を実現することが人類のテーマです。機械・航空宇宙コースでは、機械工学と機械工学関連分野の複合的な知識を展開することで、航空宇宙・陸・海での様々な課題解決に主体的に取り組む高度職業専門人や研究者の育成を目指しています。コース内は、「航空宇宙分野」、「システムデザイン分野」、「バイオ・ロボティクス分野」の3分野から教育研究を展開します。また、基礎知識を習得する基幹科目の「加工システム特論」、「航空宇宙推進工学特論」、「フィールドロボティクス」、複雑なシステムを共同作業で構築する上での取りまとめ力を養成する「機械・航空宇宙プロジェクトマネージメント」などの科目を通じ、地球をマネージメントする基礎力の定着、および社会と協調して課題解決に取り組む姿勢や応用力を涵養します。

この研究は社会にどのように生かされる?

「地球マネージメント」を実現するための最先端研究を通じて、大量生産・大量輸送・大量消費・大量廃棄から脱却する循環型社会の実現に、機械・航空宇宙の各分野で貢献します。例えば「航空宇宙分野」では,環境適合型航空エンジンなどの航空宇宙推進システムの研究開発や無人航空機などのビークル制御およびシステム制御理論に関する研究などの最先端の研究開発を通じて貢献します。「システムデザイン分野」では、環境に優しい加工技術やエネルギーの制御技術の開発を通じ、電気自動車などの次世代ものづくりを支えたり、省エネルギーを実現したりするための統合的なシステムの開発と社会への応用を通じて貢献します。「バイオ・ロボティクス分野」では、生物に学ぶことによる新たなロボットの開発、ロボットと人間との共生・対話の実現、人間の健康と生活の支援など、新しい研究領域を開拓し、時代の要請や社会の要請に応え得る斬新なシステムを構成することで貢献します。

大学院に進学する学生に求めることは?

機械工学の専門性を持ち、横断的な展開能力を備えた高度な専門技術者・研究者を育成することを目標にしています。このような観点から、本コースでは、次のような資質・能力・意欲を持った人を大学院生として求めています。

  • 持続可能な社会の実現のために社会の中核で活躍したいという意欲がある人
  • 専門的な研究・開発能力を身につけるために必要な機械工学に関する専門基礎学力を有する人
  • 問題解決のために必要な情報を収集して統合・整理できる能力を有する人
  • 専門的知識に基づき問題点を発見し、問題を解決しようとする積極的な姿勢の人

どのような人材育成を目指している?

機械・航空宇宙コースでは、機械工学の専門性の深化だけでなく、他分野との融合化を推進することができる高度職業専門人や研究者の育成を目指しています。対象となる関連分野は多方面にわたりますが、その中でも複合的な課題解決が求められるものづくりの最前線と、より高い専門性が要求される航空宇宙産業で活躍できる人材の育成を強化しています。そのために、機械工学を深く学び確かな専門力を身につけるとともに、航空宇宙工学などの関連応用分野を学び、これらを融合させる能力を養成するための教育を行っています。

修了後の想定される進路は?

進学については、博士後期課程を経て、機械・航空宇宙工学に関する研究者(大学・高専教員、独立行政法人の研究員、自動車産業や航空機産業、電子部品産業などの研究員)などの進路が想定されます。就職については、エンジニアとして、自動車関連、航空機関連、工作機械、精密機械、医療機器、電子機器、プラント、運輸など様々な分野の大手企業に就職し活躍することができます。

コースとして実施している学生サポートは?

大学院入学のためには入試を突破する必要がありますが、理工学部システム創成工学科機械科学コースからの進学の場合、成績優秀者については推薦入試制度があります。就職に関しては、自動車関連、航空機関連、工作機械、精密機械、医療機器、電子機器、プラント、運輸など様々な分野の大手企業に就職しています。就職情報はまとめたものがファイリングされており、自由に閲覧することができます。

このコースのここがすごい!

機械・航空宇宙コースの強みは、「地球をマネージメントする」をスローガンにした、様々な視野からの広範なものづくりに関する研究展開にあります。「空」「陸」「海」の全てのフィールドの最先端ものづくりに、機械・航空宇宙コースの研究は繋がっていきます。あなたの博士前期課程の2年間を有意義なものにする「種」が、必ずコースの研究の中にあるはずです。

学生Interview

大学院は実践の場。研究と真摯に向き合える

佐藤 拓志さん

学部時代は講義を通して四力(材力・水力・機力・熱力)の基礎から応用に加え、工作機械の使い方やプログラミングなどの機械工学に活用できる技術や知識を学びました。3、4年次の卒業研究では、大気圏再突入カプセルの動的不安定性の解明を研究対象として、動的磁力支持風洞の開発を行いました。

大学院進学後も学部時代と同様の研究を行なっています。現象を実際に再現しようと試みる中で、さまざまな要因や予期しない問題によって理想通りに進められないことやその原因を究明することが難しいと感じる一方で、問題を解決できた時や仮説を実際に再現できたときにやりがいと楽しさを感じています。

大学院に進んでからは、研究と学部までに学んだ専門知識を深めること、自分の意思を行動に反映させることができるようになったと思います。学部とは異なり、研究に没頭できる時間が豊富で、自分で考えて実践に移すことができる有意義な環境の中、日々を過ごせることも大学院の特徴。それによって研究と真摯に向き合うことができます。ただ、その半面、研究の結果を出すという責任も求められますが、それもやりがいにつながっています。もう一つの学部との大きな違いは時間の使い方を自分自身でスケジューリングできるところ。自分で時間をコントロールする能力も養われます。

また、研究を通して知識だけでなく自分自身のことも見直すことができ、成長を実感できます。学会やオンラインでの交流を通じて他大学や企業の方と意見交換する機会があり、刺激を受け良い経験になっています。

就職後は、課題に直面したときや物事を考えるときなど、さまざまな場面で研究を通して学んだ問題解決力や思考力を生かして取り組みたいです。まだ実際に働いたことがないので、どのように生かせるか不透明な部分が多いですが、大学院で培ったことは必ず役に立つと確信しています。

大学を目指す高校生に伝えたいのは、大学院は専攻分野の知識や能力を培うこと、研究活動を通して自分自身を試すことができる環境であるということです。学習で身に付く論理的思考力は学問以外の分野でも応用できます。勉学に励むことは価値があります。

また、学部生に対しては、大学院への興味の有無にかかわらず、先輩や教授にいろいろと話を聞いてもらいたいなと思っています。これが必ず自分の将来像の具現化につながると思います。ぜひ、いろいろな情報を得て、自分の進路を考えてみてほしいと思います。


※取材は2022年12月段階のものです

このコースではこんな教員が待っています

理工学専攻(修士課程)