知能情報コース

人を支援する新たなコンピュータシステムを創出できる人材を養成

どのようなことを学び研究するコース?

本コースでは、コンピュータ科学を基幹とし、人工知能(機械学習)技術、知覚情報処理技術、信号・データ処理技術、ネットワーク技術、およびロボット技術を融合的に深化した工学的教育・研究を実施します。具体的には、基幹科目から「アルゴリズム特論」、「計算知能特論」、「データマイニング特論」、「知能ロボティクス特論」などを学び、展開科目から「聴覚情報処理特論」、「画像認識特論」、「システムソリューション特論」などを選択して学びます。さらに、他分野の専門家と協働し新たな価値を創造する能力を育成するために、インターンシップ、短期海外研修、アカデミック英語、研究者倫理などの科目も学ぶことができます。

この研究は社会にどのように生かされる?

社会のあらゆることがIT化・AI化されていく流れは加速する一方です。しかし、これは恐れることではありません。コンピュータ科学は人の仕事を奪うものでなはく、人を支援するものです。本コースの研究は、これからの「人」と「もの」が「情報」を介して有機的につながるIoT(internet of things)社会において、様々なシステムの知能化を通して人を支援するコンピュータシステムの発展に貢献します。

大学院に進学する学生に求めることは?

知能情報コースでは、コンピュータ科学に関する専門基礎能力と未知の課題を積極的に解決できる専門的応用能力を有し、安心・安全で豊かな社会の実現に貢献できる高度な専門技術者・研究者を育成することを目標にしています。このような観点から、次のような資質・能力・意欲を有する人を求めます。

  • 知能情報工学を学ぶにふさわしい専門的基礎学力を有する人
  • 知能情報工学への高い勉学意欲がある人
  • 社会の様々な問題の解決に専門的な立場から積極的に貢献しようとする人

どのような人材育成を目指している?

「人」と「もの」が「情報」を介して有機的につながるIoT (internet of things)社会において、様々なシステムの知能化を通して人を支援する新たなコンピュータシステムを開発できる高度専門職業人・研究者を育成します。特に、社会の様々な課題に対して、本コースで学んだ専門的知識を活用し、主体的に問題を解決できる人材。そして、既存の産業界の枠にとらわれない新たな製品開発と豊かな社会の発展を担うことができる人材の育成を目指します。

修了後の想定される進路は?

本コースの修了生は、コンピュータ分野の知識を有しています。そのため、就職先としては、情報サービス業、電気機械器具製造業、電力業、通信業、輸送用機械器具製造業、総合工事業などの幅広い業種が想定されます。就職先の分野としては、情報分野が多く挙げられます。就職先として多い産業は、情報通信業、電気機器製造業、製造業などです。さらに、研究開発能力を一層高めるために、博士課程に進学する道も用意されています。

コースとして実施している学生サポートは?

教員の中に大学院教務担当者を置いています。入学オリエンテーションを行い、履修の指導を行っています。また就職についても、教員の中に就職担当者を置き、就職の指導・サポートを行うなど、様々な場面で、教員が学生をサポートする体制が整っています。

このコースのここがすごい!

人間はかすみを食べて生きていくというわけにはいきませんので、大学・大学院への進学を考えている皆さんは、将来社会人となり仕事に就くことを意識しながら進路を考えなければなりません。巷では、IT化・AI化により消えていくと予想される仕事がよく話題にのぼります。医者や弁護士のようなよほど高度な能力がなければ、社会から脱落していくかのような煽りぶりです。しかし落ち着いて考えれば、皆さんにはチャンスがあります。社会がどんどんIT化されるのであれば、そうです、IT化する仕事に就けば良いのです。ぜひコンピュータを専門とする本コースで学び、変化の大きい社会をたくましく生き残ってください。

学生Interview

大切なのは、試行錯誤しながら解決策を模索する姿勢

岡本 哲さん

学部3年次にオープンキャンパスでいくつかの研究室を見学しました。そのときに「扱っているテーマや研究という活動そのものがおもしろそうだな」と感じたことが大学院に進むきっかけとなりました。身近な製品で使われているような技術から、それまで存在も知らなかったような技術まで、幅広い内容をテーマにして研究が行われていることを知り、自分も「興味のあるテーマで新たな事実を発見する経験をしてみたい」「新しい技術に触れてみたい」と感じ、進学を考えました。

学部時代は、理工学部の知能・メディア情報コースに所属していて、数学やプログラミング、アルゴリズムといったコンピュータに関連する基礎的な内容を学ぶ科目が中心でした。卒業研究では、現在大学院で取り組んでいる研究の導入的な内容として、「稲や植物の3次元復元に役立つ画像特徴点検出法に関する研究」というテーマに取り組みました。複数枚の画像から3次元情報を復元する手法があり、それを行う上で重要となる「画像特徴点検出法」について、手法の比較と実際の3次元情報復元に対する影響の検証を行いました。現在も農学部との共同研究で、ドローンで水田の空撮画像を取得し、その画像からイネの3次元情報を復元して育種(品種改良)のための評価に役立てる研究に取り組んでいます。農業分野において情報通信技術を活用する、いわゆるスマート農業に注目が集まっていますが、異分野の問題解決に貢献できるという点が研究を行っていて楽しいと感じます。また、大きな産業用ドローンで画像を撮影する現場を見学させていただく機会がありましたが、普段の授業ではなかなかできない経験であり、この研究テーマに取り組んでいたからこそ経験できたことだと感じています。

研究では、先生や先輩を含めて誰もやったことがないことや答えが分からないことが数多く発生します。仮説を立てて実際にやってみた結果思い通りにいかない、ということも多いですが、試行錯誤しながら諦めずに取り組むことが大切だと感じています。

大学院のメリットは、たくさんの時間を使って専門的な内容に触れられることです。卒業研究では時間が限られており、できること、到達できるところに限界がありますが、大学院では2年間という時間で追求できますし、指導教員の先生から自分の考えに対するフィードバックをいただくなど、大変丁寧に指導していただけたこともよかったです。ただ、その分、より高い自主性が求められます。授業数はそれほど多くないため、たくさんの時間があります。また、研究をすすめる上でいつまでに何をやらなければいけないということは自分で考え、結果を少しずつ積み上げながら、時間を上手に管理して充実したものにしていく必要があります。

研究を行う中で、生じている問題を分析し、自分が持つあらゆる知識を総動員してその解決方法を考えるという経験ができました。この経験を生かして就職後の業務でもさまざまな問題解決に対して応用していきたいと感じます。


※取材は2022年12月段階のものです

理工学専攻(修士課程)