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理工学研究科 自然・応用科学専攻 生命科学分野の女子学生 2 名が鷹觜テル賞を受賞
今年で5回目となる鷹觜テル賞*授賞式が2025年10月10日(金)におこなわれ、理工学研究科博士課程2年の鈴木花純さんが最優秀賞を、理工学研究科博士課程1年の松坂ひまりさんが優秀賞を受賞されました。お二人の受賞に際し、心よりお慶び申し上げますと共に、今後の一層のご活躍を心からお祈り申し上げます。
簡単ですが、お二人のご研究を紹介いたします。
■鈴木花純さん
理工学研究科自然・応用科学専攻生命科学分野 博士課程2年
分子細胞材料学研究室(芝研究室)所属
研究タイトル
「エクソソームマーカーCD63の輸送に関与するADAP1、ARAP1の機能解析」
鈴木さんは、エクソソーム形成に関与する新規分子の同定と機構解析をおこない、新しい分子機構を解明しました。31種類あるArfGAPタンパク質のうち、ADAP1とARAP1が分泌される多胞体の形成に働くことを世界で初めて明らかにしました。この成果は、リソソームや分泌顆粒とは異なる新しい細胞小器官の存在を示す画期的な発見として高く評価されています。
参考文献
Arf GTPase-Activating proteins ADAP1 and ARAP1 regulate incorporation of CD63 in multivesicular bodies, Kasumi Suzuki, Yoshitaka Okawa, Sharmin Akter, Haruki Ito and Yoko Shiba, Bio Open 13, bio060338, 2024. DOI 10.1242/bio.060338
■松坂ひまりさん
理工学研究科自然・応用科学専攻生命科学分野 博士課程1年
細胞工学・分子遺伝学研究室(福田・白研究室)所属
研究タイトル
「次世代シーケンスを用いた男性ホルモンシグナル遺伝子ネットワークの解明」
松坂さんは、男性型脱毛症の原因とされる男性ホルモンが、髪の成長を抑える仕組みを解明するため、次世代シーケンサーを用いて、毛乳頭細胞における遺伝子の働きを網羅的に解析しました。男性ホルモンシグナルの有無による遺伝子発現の違いに着目し、男性ホルモンによって調節されている157遺伝子を特定しました。本研究成果は、男性型脱毛症や前立腺がんなど男性ホルモン関連疾患の新たな治療法の開発に貢献する可能性があります。
参考文献
Comprehensive transcription data to identify downstream genes of testosterone signaling in dermal papilla cells, Himari Matsusaka, Tao Wu, Kai Furuya, Tome Yamada-Kato, Lanlan Bai, Hiroshi Tomita, Eriko Sugano, Taku Ozaki, Tohru Kiyono, Isao Okunishi and Tomokazu Fukuda, Scientific Data 9, 731 (2022). DOI 10.1038/s41597-022-01846-w
- 岩手大学では、2012年度より、優れた研究活動等を行っている本学の女性大学院生を学長が表彰する「岩手大学優秀女性大学院生学長表彰」をおこなっています。2021年度より、本表彰の通称を「鷹觜テル賞」としました。鷹觜テルは、新制大学移行後に岩手大学で初の女性助教授となった、岩手の女性研究者のパイオニアです。詳細は本学ダイバーシティ推進室HPの鷹觜テル賞(https://diversity.iwate-u.ac.jp/support/takanohashiteru/)をご覧ください。鷹觜テル賞の副賞は、「すずらん基金」(岩手大学イーハトーブ基金の特定基金、https://diversity.iwate-u.ac.jp/donation/suzuran_fund/)へのご寄付を活用させていただいております。すずらん基金へのご理解とご協力をいただきました皆様に、あらためて感謝申し上げます。
理工学部女性リーダー育成推進室