電気電子通信コース
先端産業をリードする次世代の電子デバイス、コンピュータ・ センサ・通信、電気エネルギーなど、産業社会の基盤となる基礎から応用までの知識を身につける
どのようなことを学び研究するコース?
電気電子通信工学は、電気の性質を利用して、人類の持続的な発展を可能にしたり、私たちの生活や社会活動に利便性を提供する重要な役割を果たす学問分野です。本コースでは、電気エネルギーを安全かつ環境に配慮して作り伝送・供給する技術、進化したセンサやインテリジェントな機能をもつ電子デバイスを創出する技術、安全・確実・高速にデータを伝送することより快適な生活環境を提供する通信網や無線の技術などを実現するため、電気・電子・計測・制御・通信などの基礎から応用までを幅広く学びます。
通信・電子システム分野
通信ネットワーク、デジタル集積回路、デジタル信号処理、計測・制御などを基礎として、電子機器や電子応用システムに関する理論と技術を学びます。通信分野においては、国家資格の取得など実践力育成教育が充実しています。
電子デバイス分野
エレクトロニクスの基盤となる電子材料、電子デバイスの理論と技術を学びます。半導体技術、人や環境の変化を感知する磁気センサ、これらの医療・健康分野への応用、環境にやさしいデバイスなどの研究教育を展開します。
電気エネルギー分野
電気エネルギーの発生から送電・配電など電力の基礎から応用について、基本から系統的に学びます。また、放電・プラズマ、高エネルギー粒子などの電気物理現象に関して、基礎から応用にわたる理論と技術を学びます。
この研究は社会にどのように生かされる?
電気・電子・通信工学は、全ての物質の振る舞いを特徴付ける電子や電気の不思議な挙動を多面的に学び、社会にどのように役立てていくかを研究する学問分野です。そこで得られる知識と技術は、現代社会における繁栄の根幹をなす電気エネルギーや電子デバイス,通信やシステム制御に必須のもので、世界中で通用するものです。本コースの教育は世界標準(FE・PE)レベルであり、電磁気学、電気回路論、電子回路論、情報通信論などの基礎学問を基盤として、エネルギー変換、ロボット制御、環境センシング、情報通信、集積回路、半導体デバイス、光エレクトロニクス、医療機器に至る非常に幅広い分野の研究教育が行われています。電気・電子・通信工学は、無限の広がりを有する分野であり、将来の発展の芽も数多く含まれています。また、その知識と技術を持った人材は、電気・電子・通信に関する分野だけでなく、機械、化学、建設、金融、運輸など、あらゆる分野で必要とされています。そのため求人倍率も非常に高いばかりでなく,数多くの大企業から推薦枠をいただいています。また本コースは、岩手県で唯一の電気系大学組織です。本コースでは、電気エネルギーに関わる強電領域から半導体や情報通信に関わる弱電領域まで、現代産業の基盤を支える電気系分野をバランス良くカバーする研究教育体制を取っていることから、発展する地域を支えるためのシンクタンク、人材育成の拠点として地域に貢献しています。このように、本コースでの学びおよび研究は、みなさんが大学から旅立ったあとも、世界で、国内で、地域で、電気電子通信分野を中心に、多様な業種で活躍する支えとなります。
このコースに入学する学生に求めることは?
電気電子通信コースでは、自然との共生を考えた再生可能エネルギー、先端技術を支えるエレクトロニクスデバイス、高度情報化社会を支える通信ネットワークなどの専門分野を担う、十分な専門的能力を身に付けた人材の育成を目標とし、基礎理論から実用的技術開発まで広範な教育・研究を行います。そのために、本コースでは次のような能力・資質を備えた入学者を求めています。
- 電気電子通信工学を学ぶに相応しい基礎学力と論理的な思考力
- 電気電子通信工学への高い勉学意欲
- 地域はもとよりグローバルに活躍したいという意欲及びコミュニケーション能力
どのような人材育成を目指している?
現代社会における諸問題を解決する技術力を持ち、グローバルに活躍できる技術者・研究者を育成します。電気電子通信系の人材は、電気分野ばかりでなく機械、化学、建設、金融、運輸などあらゆる分野で必要とされることから、求人数が多いのが特徴です。
卒業後の想定される進路は?
電気電子通信系の人材は電気に関する分野だけでなく、機械、化学、建設、金融、運輸など、あらゆる分野で必要とされています。したがって、今後も高い就職率が期待されます。また、高度な専門知識や実践力を習得するために大学院への進学を推奨しています。
- 電機エレクトロニクス関連
- エネルギー関連
- 通信関連連
- 自動車関連
- IT関連
- 運輸関連
- 医療機器関連
- 公務員
- 大学院進学 など
カリキュラム
1年次 | 2年次 | 3年次 | 4年次 | |
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専門基礎科目 |
●基礎数学 ●微分積分学I ●微分積分学Ⅱ ●線形代数学 ●微分方程式 ●物理学I ○化学 ○物理学Ⅱ |
●ベクトル解析 ●確率統計学 ●フーリエ解析 ○複素解析 |
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電気電子通信 コース専門科目 |
●電気数学 ●電子材料物性学 ●電気電子工学ものづくり 課題実習Ⅰ |
●電気回路論Ⅱ ●電気回路論Ⅲ ●電磁気学Ⅰ ●電磁気学Ⅱ ●ディジタル電子回路 ●電気電子計測学 ●エネルギー変換工学 ●電気電子工学基礎実験 ●プログラム言語及び演習 ●電気電子工学英語研修Ⅰ ○情報通信理論 ○電子デバイス工学Ⅰ ○電子デバイス工学Ⅱ |
●電磁波工学 ●コンピュータ工学 ●制御システム工学 ●電気電子工学応用実験 ●組込ソフトウェア実習 ●組込ハードウェア実習 ○応用電子回路 ○情報通信ネットワーク ○通信システム ○ディジタル信号処理 ○半導体LSI工学 ○光エレクトロニクス ○高電圧プラズマ工学 ○電気機器工学 ○発電工学 ○送配電工学 ○電気電子工学特別講義 ○電気電子工学専門研修 ○電気法規 |
●電気電子工学英語研修Ⅱ ●電気電子工学先端課題実習 ●卒業研究 ○電気設計製図 ○電波法規 |
学科内共通科目 |
●電気理論の基礎 ●電気回路論Ⅰ ○情報工学基礎 ○測量学 |
●アナログ電子回路 ○離散数学 ○論理回路 ○材料力学Ⅰ ○機械力学 ○機械設計学 ○構造力学Ⅰ ○環境工学 |
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学部内共通科目 | ●ソフトパス理工学概論 | ○技術者倫理 | ||
○原子力工学 ○工業経営管理論 ○知的財産権概論 ○特許法特講 |
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○社会体験学習 | ||||
○国際研修 |
●必修科目 ○選択科目
学生Interview
感染予防に有効な電気集塵装置を研究
小野 みもなさん
[岩手県 盛岡中央高校出身]
私が岩手大学理工学部を目指したきっかけは地域社会との連携でした。私自身、盛岡市の出身ということもあり、好きな教科であった数学や理科のより専門的な知識を身につけ、社会に役立てたいと思い、決めました。
私は現在、高電圧プラズマで生成したイオンによって粒子や微生物を放電部で帯電させ、電極間の電界で発生するクーロン力によって電極上に粒子や微生物を捕集する電気集塵装置の研究を行っています。電気集塵の技術は空気清浄機などに利用されており、最近では新型コロナウイルス感染における飛沫やエアロゾルの捕集など、感染予防の観点で注目されています。このような技術が日常生活でより活用しやすくなるよう、小型化、そしてより安全性の高いものの開発に関して学んでいきたいと考えています。
※取材は2022年12月段階のものです
このコースではこんな教員が待っています
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秋山 雅裕
AKIYAMA Masahiro高電圧発生装置の開発と応用
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阿部 貴美
ABE Takami紫外線発光素子・紫外線センサの開発
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叶 榮彬
YE Rongbin電力を貯める・発電する薄膜デバイスの開発
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岩井 守生
IWAI Morio生物の信号をとらえて自動で診断する仕組みをつくる
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長田 洋
OSADA Hiroshi生物から学ぶ温度制御アルゴリズム
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菊池 弘昭
KIKUCHI Hiroaki磁石の性質を利用してものを壊さず測る
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小林 宏一郎
KOBAYASHI Koichiro健康モニタリングのためのIoTセンサを作る
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佐藤 宏明
Sato Hiroaki人工知能に物理世界を想像させて活用する
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大坊 真洋
DAIBO Masahiro微弱な光や磁場の信号を計測する電子機器の開発
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高木 浩一
TAKAKI Koichi電気エネルギーを時間的・空間的に制御して利用する
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高橋 克幸
TAKAHASHI Katsuyuki数万V級高電圧と静電気・プラズマの利用
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西館 数芽
NISHIDATE Kazume人類の夢、錬金術をコンピュータで実現
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本間 尚樹
HONMA Naoki見えない電波でヒトやモノをセンシング
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三浦 健司
MIURA Kenji電波による材料の非接触診断
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向川 政治
MUKAIGAWA Seijiエレクトロニクスの始まりと今
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村田 健太郎
MURATA Kentaroワイヤレス給電~電波を使って電気を送る~