教育研究基盤センター

理工系教育研究基盤センターについて

理工系教育研究基盤センター長:松川 倫明
副センター長:船﨑 健一

 理工系教育研究基盤センター(以下、「基盤センター」と称す)の活動について以下に簡単に紹介します。本基盤センターは、平成28年度にスタートした理工学部の設置計画立案の過程で生まれた組織であり、設置の経緯と目的を以下に紹介します。

 冒頭に、前センター長の船﨑先生による過去の説明の抜粋を掲載します。

 『理工学部の設置に関する議論は、国立大学の改革の大きなうねりの中でスタートし、その具体については岩手大学全体の機能強化の施策の一環として構想されたものです。理工系学部の再編については、工学部を母体としつつ旧教養部の流れを汲む人文社会科学部(人社)に在籍する理系教員の異動や学長ポストによる理系教員を採用することにより実現するという方向性は平成25年度末には定まっておりました。ただし、当初から理工学部ありきで議論が進んでいたのではなく、工学部のままというシナリオもありましたが、新しい教育研究体制となることを学内外に指し示すには学部名称と学位の変更が必要であるという当時の工学部長、執行部の考えに基づき、多くの議論を経て岩手大学理工学部が誕生しました。

 前述のように、人社理系教員の異動が理工学部設置に重要な要因の一つではありましたが、それは単なる人の組織替えではなく、人社がそれまで担っていた専門基礎教育機能の多くを新たな理工学部が引き受けることを意味していました。過去の学部改組における経験を踏まえ、専門基礎科目を担うための組織を設置することが必要であることが学部内でもある程度の共通認識となっていたことから、専門基礎教育を担う組織の設置構想を学部に問い、最終的には全学に提案しました。それが、基盤センター設置の契機となっています。』

 基盤センターには、上記の専門基礎教育部門の他に、従来の委員会方式では対応が困難でかつ新たな学部運営に欠くことの出来ない業務を担当する組織(部門)を設置しています。それらについて簡単に紹介します。

 まず、高大連携・接続部門を紹介します。学部としては、SSH、SPPなどに加え、理数科の課題研究、研究室へのインターンシップであるアカデミックインターンシップなどを通じて高校における理数科教育に協力しておりましたが、個人の教員レベルの努力で対応していたため様々な弊害も生じ始めておりました。この理数科教育への支援を組織的に行うことで高校と大学との連携を強化し、理数分野に関心を持った高校生の育成支援と、岩手大学理工学部への関心を高めるための活動を行うことを目的として同部門は設置されています。

 次の部門は特別プログラム部門です。これは理工学部の目玉の一つとして導入された3つの特別プログラム(先端理工学、地域創生・ものづくり、地域創生・防災まちづくり)の活動を支援するための組織です。従来にないプログラムであり、プログラム運営自体が手探り状態で進められておりましたが、令和元年度末に初めての卒業生を輩出するなど経験値も十分に蓄積してきております。業務としては、入試対応などに加え、研究室インターンシップ、先行履修、など、新たな制度の整備と予算確保などにむけて取り組んでいます。

 教育改善部門は、学部内における教育面でのPDCAサイクルをまわすための重要な組織である。当初教務委員会との重複感を不安視されておりましたが、WebClassの活用促進、webによる毎年の授業アンケートと授業改善に向けての助言、FD研修、など、存在感が一層高まって来ています。入試・入試広報部門は、入試に関する定量的調査とそれを踏まえた効果的な広報活動を企画することを目的とした部門です。入試センターの専任教員にも加わって頂き、入試委員会では実施が困難な他大学の動向調査など詳細なデータの分析などが行われており、その結果は入試委員会等で共有されています。グローバル研究者育成部門は平成29年度の理工学専攻設置時に導入された部門であり、専攻内の特別プログラムに相当するグローバル研究者育成プログラムを支援することを目的とした部門です。

 英語教育部門は、理工学部の教育目標であるグローバル理工系人材育成に向けての学部内英語教育の強化を目的とした部門です。高校までの英語教育が大きく変化する中、全学の動き、他大学の動向調査などを踏まえながら、今後の学部としての取り組みを検討しています。

 以上、基盤センターと各部門の概要を紹介しました。理工学部における教育研究をいろいろな面で支えている組織であり、学部構成員の皆さんからの協力を得ながらより充実したセンター活動を展開していきたいと思います。

 最後に、基盤センターの7部門の活動に関する自己評価を記載してまとめとする。

 基盤センターは、専門基礎教育の実施組織(専門基礎教育部門)として学部及び他学部の理数系共通科目の実施や運営を担っており、積み上げ方式の理工系専門教育での学生の学びを支える重要な役割を果たしている。次に、教育改善部門は、学部教務委員会や全学の教育マネジメントセンターと連携して、FD研修の実施や学生による授業アンケート調査の実施により理工学部教員の教育力の向上に取り組んでいる。その結果、学部教員のFD研修の参加率は8割を超えており、学部授業アンケートの平均の総合評価は5段階中4の高い数値に達している。さらに、高大連携・接続部門は、高大連携や高大接続の活動の支援を組織的に実施しており、毎年多数の高校生が課題研究授業やアカデミックインターンシップ等に参加している。

 また、特別プログラム部門を通じて先端的な理工系人材の育成や地域創生人材育成に大きく貢献しており、英語教育部門やグローバル研究者育成部門は、英語教育の充実やグローバルな視点を有する人材の育成に関しても取り組みを強化している。また、入試・入試広報部門は、全学や学部の入試委員会と連携して、入試全般に関する調査・分析などの支援を実施している。以上のことから、基盤センターは、設置の趣旨に従って適切に運営されていると評価できる。

組織

理工系教育研究
基盤センター
運営委員会 部門 専任的教員数 兼務教員数
理工学専門基礎教育部門 7 4
英語教育部門 0 7
特別プログラム部門 先端理工学特別プログラム 2 12
地域創生特別プログラム 2 5
高大連携・接続部門 0 10
入試・入試広報部門 0 5
教育改善部門 1 13
グローバル研究者育成部門 0 9